「親知らず」とは、正式には“第三大臼歯”と呼ばれる歯の通称で、20歳前後で上下の一番奥に生えてくる永久歯のことを言います。
基本的には上に2本、下に2本、合計4本存在しますが、先天的に欠如していて4本揃っていない人も珍しくはありません。
また、親知らずがあったとしても、斜めに生えて半分ほど埋まったままになったり、顎の骨の中に深く埋まったままで出てこないケースが増えています。
古代と比べると、食物の調理法が増えて、やわらかいものを食べる機会が増えたことで、顎が小さくなり、すべての歯が納まらなくなったともいわれています。
余談ですが、そもそも親知らずの名前の由来ってご存知ですか?
この「親知らず」という名前は戦国時代以前にすでに使われていたようです。この時代の平均寿命が50歳程度だったこともあり、先述したように親知らずが生えてくる20歳頃ではすでに親と死別していることが多かったそうです。
ですので、親が知ることなく生える歯であったということが由来となっているようです。(諸説あり)
また、親知らずは別名「智歯」とも呼ばれ、英語ではそのまま”
wisdom(知恵)
tooth(歯)”といいます。
1人前になり物事の分別ができる年頃になってから生えてくる歯ということでついた名称だそうです。
ちなみに韓国では「愛の歯」とも呼ばれます。
初恋をしたり、愛がわかるようになる年齢になってから生えてくる歯だからだそうです。とてもロマンチックな語源ですね。
親知らずに関して、患者さんから一番よくある質問のひとつが
親知らずは抜歯した方がいいの?
というものです。
親知らずが上下ともに真っすぐに生えていて、嚙み合わせに問題がなく、かつ丁寧に歯磨きが出来ている場合は抜く必要はありません。
また逆にあごの骨の中に完全に埋まっていて、周りの歯や骨に悪い影響を与える様子がなく、痛みや腫れなどの症状がない場合は、直ちに抜く必要はありません。
万が一、親知らずの手前の歯を抜歯しないといけなくなったとしても、ブリッジの支えとして利用できたり、自家歯牙移植の歯として使える場合があります。
それに対して、抜いたほうがいい親知らずもあります。斜めに生えて一部分だけが見えていたり、水平に生えて前方の歯を圧迫しているような親知らずがそうです。
抜かずにそのままに放置しておくと、歯ぐきが腫れたり、虫歯の原因となります。
特に斜めに生えてきた場合、隣の歯とのすき間に汚れがたまりやすくなるため、親知らずだけでなく手前の大事な永久歯(第二大臼歯)に虫歯ができてしまいます。
そうなると結局、事前に親知らずを抜歯をしておくよりも、多くの治療が必要なることが多いです。
口の中を見て自分の親知らずが、どちらの状態かがわかる方は少ないかと思います。
実際に自分の親知らずがどのように生えているか不安な方は一度歯科医院を受診されてはいかがでしょうか?
2024年9月 吹田市歯科医師会HP コラム(飯田)